2016年12月7日水曜日

"負け逃げ " に寄せて: 「そんなにあからさまにしてどうすんの?」





「そんなにあからさまにしてどうすんの?」

わたし、好きなんです、こういうことば。
ちゃんと、引用します。


「田上は自分が音楽を作ってるわけでもないのに、
人とは違う音楽を聞いて、自分は周りとは違うみたいな顔をしてる。
そんなにあからさまにしてどうすんの? って思う。
目の前の丸まった背中はリズムをとるわけでもなく、ただ音楽の世界に没頭している、ように見える。
退屈そうに教室を眺める田上の視線の先に、、、」

- こざわたまこ「負け逃げ」(新潮社、2015)



負け逃げ、ってことば、昔からときどき私の頭の中にあったような気がする。。。。

こざわたまこさん作品「負け逃げ」を手に取ったきっかけは、、
「女による女のためのR-18文学賞」というのも気になるし、
作者のこざわさんが福島県、南相馬市のご出身というだけで共感しちゃうし、
きっとみんなそうだと思いたいけれど、
主人公の女の子がやばそうで心惹かれるし、、。

Emerson, Lake & Palmerの ‘Hoedown’ 〜 'Tarkus'/ライブ盤ブートレグをイヤホンで爆音装備しながら、(立) 読みし始めました。
Moogさんが発明したアナログシンセをオレたち(ELP)使ってるから、って、誘われるままにそのギグに出向いてしまった、
Dr. Robert Moogさんのような体験ができたらいいなーと。
(もちろんこれは冗談です)。

最初は、、
あぁ、、ちょっと読むのやっぱりしんどくて/面倒でむりか、ともうひとりのじぶんが言ってくれていたのですが、
上の引用したパラグラフの辺りをきっかけに、読むのが止まらなくなって、あっという間に読了。

キャストのストーリーが交差して、そのキャストの心や気持ちが次々とやってきて、わたしの心も囚われていく、、、
なんだかまとまりがあってなかったような短編が、、どんどん、、、
どうやら、ひとつにまとまった短編になっていくようで、、、
いつのまにか壮大な叙事詩になっているようで、心がどんどんワサワサします。
気持ちの解決なんてないんだけど、解決の希望待ち。光り輝く・待ち

解決なんてそもそもないのだから、、、汗
情景が、そして気持ちが、闇へまっすぐ向かっていくので、ほんとうは怖くて読めないです。でも、読んじゃう、なんか聖書みたい。
短編になってくれていて、よかった。休憩/こころのひと段落ができるから。
まぁしゃーないか、って何にも解決しなくても時間が勝手に進んでくれるから。

なにしろ、読み進めれば進めるほど、
人って怖い、人って愛おしい、人って怖い、人って愛おしい、が、ループ。
わたしたち、島国・日本の大切な大自然の奥の、またその奥の方で、
やばい出来ゴトが起きるものですから、、、
出口なしの真っ暗のトンネルを抜けらるかどうかがわからない道をしとしと歩くように、
もしコレを長編で読み続けなければならないとしたら、"負け逃げ" はとっても辛くて読めなかったかも。




各章の短編・6つが長編/"負け逃げ"サーガになっているようで、
ちゃんと、じぶんの意思で読み紡ぐことができて、しあわせでした。

真っ暗闇の夜でも、自分に嘘をつかずに生きて行こうって、わたしは励まされた、
わたしにとっての名作です。

年末年始に実家に帰ったりするみなさま、
絶対読んだ方がいいです。

きらきらして生きていけるかも。

0 件のコメント: