2013年10月27日日曜日

ドアーズ 紙屋悦子の青春



「私の感じる良い作品とは、その人だけが持つ奥深く、裏を持った人物が登場するのです」。
- 福沢富夫


中野にある小劇場HOPEでセミフィナルにあたる、本日、
誘われるままに、ドアーズ主催の「紙屋悦子の青春」(作 松田正隆/ 演出 福沢富夫)へ行きました。

劇団民藝はほんとすごかったんですよ、ほんものばっかり、怖い怖い。
なぜなら、ごまかしがきかない舞台だからでしょうか、
技術習得の為の長い時間を費やすだけでなく、強烈な精神負荷がかかる訓練、
努力しても努力しても届かない場所へ、そのゴールが見えなくとも弛まぬ努力の強制と自発行為の繰り返し、
わたしはこれしかできないんです、が通じない場と時間。
わたしがんばってます、が通じない場と時間。
こわい、こわい。
ここには魂/表現がつたわった!って感じる喜びだけがきっと真摯にあるんだって、きょう思いました。


明治維新を経て、国民一丸で世界一強いと言われた、バルチック艦隊を破って、日露戦争で勝ったあと、その約80年後に、
日本が全世界に戦争をした、あの時代に生きた、紙屋悦子の青春はこういうこと、ってのが、
過剰表現もうそもなく、
静かに熱い心の中にある「あの時代に生きたなにか普遍的なこと」を伝える為だけに、 精神の緊張と緩和で表現される出演者全員の確かな技術によって、
いまもあの時代も本当は望まれる、日常生活で欲しい、真の仕合せへの思いが伝わる1時間45分でした。
こういう表現に出会うと、人生が変わります。


会場で織り込まれた、一枚のお手紙のような、
演出 福沢先生の「ごあいさつ」の一文を下記にご紹介します。


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私の終戦は国民学校6年生のときでした。
日本の国を護るために、軍人として教育を受けてきた時期です。
戦争は人間が起こしたものです。
たくさんの人間の、命の、死の、上にあるものです。
勝つか負けるか、その途中にスポーツやゲームみたいにルールがあるわけではないのです。
- 福沢富夫
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あすは最終日、素晴らしい1日でありますように。完売御礼ですね。

そういえば、出演者の方と呑んで、駆け込み終電間際のJR中野駅で偶然、ワーナー井上さんに遭遇。
そういう縁っていいですよね。

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